株式会社アンカーマン
どのようにすれば今までの延長線上にない未来を創れるだろうか?
広川:停滞気味だった売り上げの改善と、メンバー自身が主体的に組織目標を立て、達成までやり切る雰囲気をつくること。その二点を目的に「すごい会議」を導入しました。
これまでは、経営計画や予算管理を僕が担ってきましたが、僕はもともと職人気質なので、営業や組織マネジメントよりも、お客様の課題に向き合い教育的支援を行うことに力を注ぎたい。
そのため、今回の導入では僕に代わって組織をマネジメントし、営業面でリーダーシップを取れる人材を育成することも狙いの一つでした。
広川:「すごい会議」のメソッドに、あらゆる面で効果を感じました。たとえば、「うまくいっていること」から話し始めること。あるいは、「質問があります」「リクエストがあります」といった明確な会話のフォーマットを使い、「ひどい真実(会社や自分自身の)」をテーブルに上げることなど。
すべてに学びがあり、特にファシリテーター役のコーチがいることで「会議はこんなにも変わるのか」と、会議運営の課題に気づかされました。
また、以前は僕自身が各部署のアクションプランをチェックしていましたが、「すごい会議」では、メンバーが自ら立てた目標をコミットメントリスト化して一元管理できる。しかも、その目標は自分たちで「やる」と決めた約束なので、自然と行動の質も高まります。
この会議を続ければ、会社が変わる。そう確信して正式に導入を決めました。
広川:まず、営業活動に力を入れたことでメンバーの数字意識が高まりました。
正直なところ、僕にとって重要なのはお客様に喜んでいただくことであり、自社の売上・利益といった数字は副産物でしかありません。だからこそ、当社では入社後すべての社員が、まずはコンサルティングの現場で顧客理解を深める方針を取っています。
とはいえ、企業として安定した売上・利益は不可欠。僕以上に営業活動にやりがいを感じる人材を発掘することは、会社にとっても、僕にとっても価値がある。今、その中核となるメンバーが育ちつつあることに手応えを感じています。
新規顧客の開拓に関しても、具体的な行動と新たな成果が生まれ始め、「すごい会議」の初回で掲げた目標は達成する見通しが立ちました。非常にポジティブな変化が生まれています。
広川:とりわけ大きな変化があったのは、人事領域です。これまでも理想の人材像は描いていたものの、それを実現するための人事体制が手付かずの状態でした。今回、そこにテコ入れし、人事部を正式に組織化できたことが大きな一歩です。
その結果、大手企業出身者の採用に成功し、教育・研修のプログラムも新たに始動。評価制度の導入にも着手できました。改めて、組織を成長軌道に乗せるには人事領域の整備が重要だと実感しています。
広川:会議に参加したマネージャーたちの意識や行動が明らかに変化しました。
当社のミッションの中心にあるのは、“成長”の提供です。そして、「“成長”はチャレンジからしか生まれない」と再認識したことで、僕たち自身も「チャレンジし続ける存在であろう」と、覚悟が固まった。
「顧客に“成長”を提供する立場の自分たちが、“成長”しなくていいのか。いや、すべきだ」と、問題意識を持つようになったことが大きな前進です。
新たに導入した評価制度では、チャレンジングな目標や行動を奨励し、会社として“成長”の機会を増やす方針を明示しています。その設計にあたってもマネージャーたちと議論を重ね、理想とする人材像と連動させられたことがよかったですね。
広川:目標達成の課題を洗い出していくなかで、メンバーから「提供しているコンサルティングのレベルにばらつきがある」と、指摘が出たことが印象に残っています。
サービスの本質に関わる重大な課題であり、これまでそこに踏み込んでこなかったことを深く反省しました。
同時に、「僕たちは何のためにこの会社をやっているのか」と、原点に立ち返るきっかけになり、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の見直しや評価制度の整備といった、組織の根幹を見つめ直す重要な議論につながりました。
広川:評価制度に見合った処遇の適用です。制度改訂によって、パフォーマンス次第では降格の可能性も生じる体制となり、実際に退職という選択をした社員もいます。
もともと厳しい処遇とは縁遠い組織風土でしたが、健全な組織づくりのためには必要なステップだと判断し、あえて踏み込みました。その結果、評価制度の一貫性が保たれ、余計な葛藤も減り、組織全体がより前向きに機能するようになったように感じています。
和田(コーチ):あるお客様が、「“すごい会議”は虫歯を抜くプロセスのようだ」と、表現していたのが印象的でした。問題に気づかないフリをしていても、いずれ限界が訪れる。思い切って根本的に対処する方がものごとはスムーズに進むもの。
「未完了」を減らすことは、組織のパフォーマンス向上につながります。
広川:この会議は、「問題」を「問題」として認識できる場です。僕を含めたマネージャーが何を「問題」と捉えるのか、解決の緊急度や重要度をどう見るのか。
以前は、それらを議論する場がなく、問題が表面化してから対処していました。しかし、「すごい会議」では「問題はなにか」と切り込み「(組織や自分自身の)ひどい真実」を挙げながら問題の核心に触れていける。
マネージャーが集い、「問題」を包み隠さず議論できる環境をつくれたことが本質的な価値ですね。
和田(コーチ):広川さんはもともと物腰の柔らかい方ですが、「すごい会議」を重ねるなかで、メンバーに対する“許さない”姿勢が強まったように感じます。
たとえば、「やる」と宣言した行動に対しては必ず「いつまでにやる?」と問いかけるなど、“言ったからにはやりきる”という責任感を促す関わり方が強まりました。
成果への押しの強さが増し、組織全体に程よい緊張感が生まれたような印象です。
広川:僕自身が「お客様目線」になれたから、ですね。期日や担当を決めて成果物に責任を持つことは、サービスの質を高めることにつながる。すべてはそこに行き着くと考えると、マネジメントへの意識が変わり、「やり切る」ことを確かにする責任があると感じました。
お客様に提供できる価値をどう高められるか。それだけを考え続けています。
広川:「すごい会議」は、あくまで自分たち自身で考え、アウトプットする場です。専門家のコンサルティングを受け、経営に関する知識をインプットすることも大切ですが、それらの気づきを自社の課題として持ち帰り、ディスカッションを通じて意思決定につなげられるのが「すごい会議」の特徴。
一般的なコンサルティングとは異なり、「すごい会議」は自走型の組織をつくるための思考と対話の装置だと捉えています。
広川:当社はこれまで、補助金を起点とした企業支援に注力してきた経緯があり、和田さんが補助金領域に詳しいことは、一つの大きな魅力でした。
さらに、和田さんの持つポジティブなエネルギーは、僕を含めたメンバー全体に前進する勇気と自信を与えてくれます。どんな状況でも相手を否定せず、柔軟に相手のやる気を引き出すコミュニケーションは、まさに和田さんならでは。信頼できるパートナーです。
広川:人事部門が確立されていない企業に効果的だと思います。事業を伸ばすには、人が成長する土壌づくりが欠かせません。
実際に今回の会議を通じて、社長自らがMVVを体現しながら、採用、育成、評価を連動させていく組織づくりの重要性を実感しました。
たとえ売り上げが数億円規模の組織でも、人事機能が整っていない企業は少なくない。成長の土台をつくる手段として、「すごい会議」は大いに役立ちます。
広川:現在立ち上げ中の新規事業を、いち早く軌道に乗せることが直近の課題です。具体的には、来年3月までに2つの事業で合計1億円の売上を達成し、再来年の期末までに各事業で1億円ずつの売上を目指す計画です。
新規事業の構築は、ある意味で自分自身との戦い。経営判断や予算・リスク管理に対する不安、そして自分のなかにある恐怖心と向き合いながら、そのプロセスを楽しみ、結果を出す覚悟が求められます。これからも「すごい会議」を通して取り組んでいきます。
広川:僕自身と組織が毎年着実に成長し、具体的な成果としてその手応えを感じられている状態ですね。
将来的には、お客様の事業発展をさらに後押しできるよう、自社でファイナンスサービスを提供できる体制も視野に入れています。その実現に向けた道筋はいくつもあるからこそ、「すごい会議」で柔軟に戦術を選びながら、問題解決のプロセスを楽しんでいきます。