具体的に「すごい会議」で改善したい課題は何でしたか?
田中:2015 年の売上8億円に対し、16 年は 14 億、17 年には 25 億という目標を立てています。その大枠の経営は、これまで通り私たち2人のハンドリングで着実に進む自信はありますが、その車輪となる各店舗の運営は「上級店長」と呼ばれるスタッ フに任せています。しかし、言い方は悪いですが「もっと自分の頭を使えよ」と言いたくなるような状態でした。
井石:以前は、仕事の段取りから手配まで、すべてを田中と私がやっていました。スタッフはその後の命令待ち。そのクセが 全般に広まっていて、スタッフと一緒に飲んでいても「井石さん、2軒目どこにしますか?」と聞いてくる。「え? それも俺が決める の?」と言いながら、結局私が決めてしまう。するとその雰囲気がまた仕事でも当たり前になってしまう。仕事を任せても上司の顔色をうかがうようになる。それを変えたかった。
「すごい会議」では、どのような事を行いましたか?
井石:最初に会社の目標をみんなで決めました。数字ではなく、どんな会社にしたいか。そこで決まったのが「日本一、入社 したい会社」だったんです。私は、これがすごく気にいっています。田中と私では、売上予想が異なる時もあります。でも、この目標は2人ともしっくりくる。ああこのために会社やっていたんだと。そして、それを会議に参加した上級店長たちとも 共有できたことで、大きく変わりました。
田中:その上で、経営者2人からの指示待ちという「風土」もすぐに壊してもらいました。そんなの関係無しに久保田さんが どんどん進めるので。ついつい口が出ちゃう僕は、途中から「×」付けたマスクをしての参加になりました(笑)。
久保田:「連絡事項の徹底」というセッションで、上級店長たちは各店舗への連絡はちゃんとやっていますと言う。指揮系統は こうこうで、と。でも往々にして自分が思っているほどの伝達効果が伴っていません。セッションでそれに気づくと、みんな ソワソワし始めたんです。
田中:そのまま全員、会議を飛び出して店舗に挨拶に行ってしまいました。「俺たち、これからやるから!」と言いに。
久保田:もともとそういう雰囲気のある会社なんですよ。それを上職に対してだけでなく、進んで周囲に自ら示す。会議をきっ かけにそれができるようになったんです。
井石:参加スタッフのモチベーションが高く、だれも遅刻しない。しか し、いざ会議が始まると、ふわっとした内容になってしまう。ランチの 売上げを聞かれても体感程度のことしか言えない。すると久保田さんが 「それじゃダメだ」と中断してデータを集めさせる。するとまったく違っ た実態が分かる。以来、会議の内容も深いものに変わりました。
田中:スタッフが数字を前提に考え話すことを意識するようになりました。これには驚きました。